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葛之院姉弟と御波珠姫(PC)、葛之院家出入りの商人(PL)がのほほんとしてる場所。注意書きは必読でお願いします。
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それはある、暑い日の夜のこと―




・・・

「…暑い」
 葛之院家は古きを重んじる家…とは言え、酷暑の現代においてもエアコンの一つも使わないというのはどうなのだろう。
「暑いわねえ」
 言葉とは裏腹に、涼しげな顔のまま微笑む望夜。彼女はといえば、絽の浴衣のような寝巻きで団扇を扇ぎ、それだけで凌いでいる。
「姉さん、それ相槌?」
「あら、本当に暑いと思ってるわよ?」
 ふふ、と微笑む望夜。
(姉さんは―)
 いつも通り、見慣れたその笑顔を見て、朔夜はふと思う。
(―姉さんは何で、いつもそう笑っていられるんだろう)
 灼滅者としての戦いの日々。一般人と同じような学園生活は、いつ終わるとも知れない仮初のもの。
 穢される魂を庇う、そんな毎日の中で―
「朔夜ちゃん?」
「―ん」
 望夜が小首を傾げて、こちらを見ている。考え事をしていたせいで、難しい顔をしていたのかも知れない。
「何でもないよ。ただ―」
「ただ?」
 いつもの調子で返す、軽い嫌味。そのつもりで、朔夜は口を開く。
「姉さんて、悩みとか無さそうだなって」
「あらあら、そんなことは無いわよ?」
 うふふ、とやはりいつもの調子で帰ってくる。
 本当に悩みが無いのか、それとも、姉は人並みで自分が色々と考え過ぎなのか。姉の笑顔を見ていると、朔夜は自分の正当性を疑いたくなる。
(やれやれ)
 ため息を一つ。答えの出ない疑問で埋まる頭をリセットしようとして―
「例えば私だって、灼滅者じゃなかったらって思う事もあるわよ?」
「え」
 姉の言葉に、中途半端に片付けられた頭の回転が止まった。
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