商：そういえば、朔夜君もうすぐ誕生日じゃなかったっけ？
朔：そうですね、忘れてました。
珠：朔夜お兄さん、何か欲しいものとかありませんか？
望：あ、それじゃたまちゃん、折角だからお料理とか…
朔：御波さんはとにかく、姉さんは絶対に手を出さないように。絶対に。

・・・

（望夜、用事で退出）
珠：ねえ朔夜お兄さん、何で望夜お姉さんには料理をさせないんですか？
商：あ、僕も気になってた。例えば料理が下手なんだとしたら、かえって練習させた方が…
（朔夜、小さな巾着を取り出し、開ける）
珠：わ、何ですかコレ？綺麗な石…
商：水晶かな？赤いけど…柘榴石や紅玉とはちょっと違うかな…

朔：肉じゃがです。

珠：…え？
商：…は？
朔：姉さんがまだ前の学校で、料理研究部に居た頃…部活動で肉じゃがを作った時にできたそうです。
珠：…え、え？ごめんなさい、意味がよく分からないんですけれど…
朔：以来、姉さんが料理をする度、謎の爆発やガスの発生が頻繁に。
商：…
朔：当時の同級生曰く、炭ができた日は「大きな失敗が無かった日」なんだそうですよ？
珠：え、ええー…
商：何と言うか、下手したら化学以上の何かが起こってるとしか…
朔：食べられないものができるだけならまだしも、下手したら大事故が起こりますからね…
珠：た、確かに料理はさせられない…というより、キッチンに入れられないですね…
商：（…この“肉じゃが”、まさか賢者の石とかじゃないだろうな…？）
朔：まあ、そういう訳ですよ。

・・・

珠：何と言うか、とんでもないお話でしたね…
商：どこまで真実かはとにかく、まあ間違いなく危険なのは確かかな…
珠：それはそうと…朔夜お兄さん、何だかんだ言ってあの石、大事そうに持ってましたよねー？
商：そうだねー。いや全く、素直じゃないなあ…(によによ)